YouTubeの自演動画が削除されたことについてJASRACに質問状を出した

  • By yamasaki
  • 21 4月, 2014
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JASRACが2014年3月18日付けで「利用許諾契約を締結しているUGCサービスリストの 公表について」というプレスリリースを公表しました。ここには、YouTube、ニコ動、アメーバブログといった、JASRACと利用許諾契約を締結している動画投稿やブログサービスのリストが記載されています。

つまり、ここに記載されているサイトであれば、自演のJASRAC管理楽曲投稿やブログに歌詞を公開しても、ユーザー自身が利用許諾を得る必要がないわけです。たとえば、Google傘下のYouTubeなどは、2008年の10月からJASRACとの間で包括契約を結んでいたので、ご存じの方も多いと思います(当初は国内楽曲のみ)。

その後、外国曲も解禁されることになり、私、山崎は、待ってました!とばかりにギター演奏、あるいは自身で開発したiOS楽器アプリでJASRAC管理楽曲のカバーを投稿したものです。その中に、イーグルスの「HOTEL CALIFORNIA」(JASRAC管理番号0H0-8519-6)とキング・クリムゾンの「STARLESS」(同0S1-7635-1)がありました。

しかし、その後、YouTubeより驚きのメッセージが舞い込みました。「あなたが投稿したマテリアル(動画のこと)に対して、次のような著作権に関する申し立てが提出されました」という一文で始まる文章には、「Cass Coutry Musicから、おまえの投稿した“Hotel California”が著作権を侵害しているので削除したよ」といった趣旨の文章が書かれています。

cass_country_music

ビックリしました。仕事でコンテンツを作る側でもある私的には、できるなら人様の権利を侵害するようなことはしたくないと常日頃考えていただけに、このような文章を突きつけられてしまい「オマエは極悪非道の罪人だ!」と断罪されているような気持ちになり、狼狽したものです。

おまけに、「異議申し立て通知を送信することができます」と書かれているその次の行には、「手違いまたは誤認によりマテリアルが無効にされたと故意に著しく事実と異なって告げると、賠償責任を問われる場合があります」と明記されているではありませんか。

ばっ、賠償責任ですか!わ〜ごめんなさいごめんなさい、もう二度とJASRACの管理楽曲はアップロードしません!とオイオイ泣きながらパソコンの画面に向かってわびたものです(誇張してますが…)。

そして、その後、こんどは自身が開発したiPhoneアプリ「Manetron」で演奏したキング・クリムゾンの「STARLESS」についても、「権利者のDCMLから申し立てがあったので削除した」とのメッセージが入り、動画が有無を言わさず削除されてしまいました。

それにしても、なぜでしょうか?私は「自演のJASRAC管理楽曲であれば投稿OK」というルールをきちんと守っているわけで、なぜ削除されなければならないのでしょうか?

聞けば、私の周りにも自演のカバー曲を削除されてしまったという友人がいます。また、試しに「Cass Coutry Music」「eagles」でググってみると「削除されちまった!なぜだ」というたくさん海外組の声に接することができます。

□JASRACに質問状を出しました

これまで「まあ、しょうがないや」と放置していたこの疑問ですが、3月18日付けでリストがJASRACの手により公開されたことを機にJASRACに質問状を出してみました。質問状は…、JASRAC_shitumonこんな感じですが、要約すると…、

1. 管理楽曲なのになぜ削除されるのか?
2. 削除するにしても、プロバイダー責任制限法では、発信者に通知後7日間は削除を待つのでは?
2. 削除に関してJASRACはYouTube(Google)に確認をしてくれるのか?

といった趣旨の質問を投げかけました。それに対するJASRACの回答は、以下でご覧いただくとして、私の解釈を加えつつ要約すると次のようになります。正直、著作権の専門家でない私は、回答のロジックが入り組んでおり読み解けない部分も多いので、間違っていたらごめんなさい。このブログはコメント欄は閉じていますので、Twitter:@yamasaki9999にご指摘いただければと思います。

JASRAC_kaitou

要約すると…、
1. 我々は削除を求めることはない。そもそもGoogleがやっていることなので削除理由は不明
2. YouTubeの利用規約は、米国の法制度に則り、世界中のユーザーに規約の順守を求めている
3. 米国の法制度=米国デジタルミレニアム著作権法(DMCA)では、権利者から削除要請があったら即削除し、その後、発信者の異議を受け付けて復活を検討する
4. JASRACの管理楽曲であっても、GoogleはDMCAに則した運営管理をする、JASRACとGoogle間で、それを前提とした契約がされているので、「契約自由の原則」ということで、楽曲が削除されてしまうこともあり得る

といった意味になるかと思います。というわけで、生殺与奪の権を握るプラットフォームには逆らえないという思いだけが残った質問状とその回答でした。(黄色いマーカーは筆者がつけた)

ちなみに、回答の中で1点疑問があります。

『日本のプロバイダ責任制限法で は、Google 社が本件お問い合わせの動画について、「他人の権利を侵害していると信じるに足りる相当の理由があったとき」は、これを削除したとしても 発信者に対して免責となるものとされています』

とありますが、(回答の黄色いマーカー部分)プロバイダー責任制限法を言うなら、やはり発信者に通知し、7日間待って異議がなければ削除するというのが原則かとは思うのです。まあ、プロバイダーも、明らかに権利侵害とわかるものは、即削除しているという話は聞きますので、そのことをおっしゃっているのでしょうか。

ちなみに、「月刊コピライト」誌2009年1月号「動画投稿(共有)サイトに対するJASRACの利用許諾」という記事において、JASRAC送信部長の小島芳夫氏は次の様に述べています。

「JASRACに利用許諾を求めた時点で、JASRACの主張する利用責任は認めているのであるから、日本のISP責任制限法や米国DMCAなど、責任を制限する枠組みを超えた、違う次元の話になるのは当然である」

つまり、明らかに権利侵害があると認められるときは、法律云々ではなく、削除する努力をしなさい、ということでしょう。

それと、もう1点、最後の行に「JASRACの権利以外の問題について、JASRACがGoogle社に対し確認を行うことはできません」とありますが、逆に考えると、私の例は、「JASRAC管理楽曲の自演動画の投稿」という話なので「権利以外の問題」ではなく、包括契約に準じた「権利以内の問題」(つまりJASRACマター)ということで、Googleに確認してくれるのだろうか、という疑問も残ります。この件は、何かの機会にJASRACに確認したいと思います。

ちなみに、JASRACからの回答には、日付も署名も記載されていませんが、正真正銘JASRACの広報担当者がメール添付で送信してきたものであることを誓います。また、このブログを書くにあたり「著作権法がソーシャルメディアを殺す (PHP新書)」の城所岩生先生にアドバイスをいただきました。ありがとうございました。

いや〜、著作権の話は、ややこしいなあ…

【追記】
文中の間違い諸々訂正しました。あと、JASRACの小島氏の肩書きは当時のものです。2013年8月にお会いしたときは「業務本部副本部長」でした。

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