iRig HDを買ったのでAmpliTube for iPadでいろいろと試してみた

第一印象は、十分「合格」

SNの悪さとハウリングにセンシティブなところが馴染めなくて、ぜんぜん使っていなかったiRigですが、それらの「弱点」を改良したと言われるデジタル版のiRig HDがリリースされたので、さっそくAppleStoreで購入し、使ってみました。うん。確かに、良いです。

最大の弱点だったSNとハウリングの部分は、まったく気にならなくなっており、プチストレスの呪縛から解放されて、ギターやベースの演奏に没頭することができます。

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さて、音質という点ではどうでしょうか? 届いてから、数日しか経っておらず、そんなに弾き込んでいないので突っ込んだ評価はできませんが、第一印象は、十分「合格」といったところです。

そもそも、私の場合、他にいろいろな機材を試したわけではないので、少ない経験からの比較論でしか語れないのですが、これまで、MacやiPadでギターやベースを演奏したり録音する際は、Apogeeの「ONE」を使っていました。ONEは、iPadには正式対応していないのですが、カメラコネクションキットを利用し、USBアダプターから電源を供給することでiPadでも利用することができます。

ちなみに、「ONE for iPad & Mac」というiOS正式対応版がまもなく発売されるということで、そちらも気にはなるのですが、後述する別の理由で「ONEはもういいかなって」気持ちになっていたので、今回、iRig HDを導入しました。そもそも、ONEは価格が高いですしね。

ONEとiRig HDの音を比較すると、私の耳ではその違いがよくわからないわけで、そうなると、いざ、ギターやベースの演奏・録音に限っていえば、コスパの面でiRig HDが優れているわけですね。強いて言えば、ONEの方が繊細な感じで、音が立ち上がるときのアタック感が高速な感じがしますが、まあ、気のせいとも思えるレベルです。そもそも、iPadで利用する場合は、iOS(CoreAudio)やアプリのレイテンシーに左右される部分が多いわけですから、ハードの差はよくわかりませんでした。

ONEの方は、コンデンサーマイクを内蔵しているなど他の機能もあるので同じ土俵で比較するのはフェアではないですが、私の場合は、ギターやベースをプラグインする使い方しかしていなかったので、私的コスパ比較で、iRig HDに軍配を上げたわけです。

まあ、ピュア・オーディオ系と違い、基本的にノイズにまみれたギターやベースの音をiPadでカジュアル録音やカジュアル演奏をするわけですから、前述のハウリングとSNの問題が解決されて、それなりの音質が確保されていれば言うことはないわけです。

「手軽さ」と「機動性」に優れたiRig HD

それと、ONEとの比較でiRig HDが良いなって思うのは、「手軽さ」と「機動性」につきます。ONEで録るときは、写真のように、、カントリーマンのDIをカマしているので、iPadでカジュアル演奏・録音!という割には、大仕掛けになってめんどくささがあるわけです。写真には写ってませんが、この他に電源付きのUSBハブも必要なわけです。

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えーと、わざわざ、DIをかまさなくてもONEのインストゥルメンタルポートにギターからのジャックを直刺しすればいいでしょ!という突っ込みもあろうかと思いますが、実は、ONE付属のI/Oケーブルの接続部分(おそらく本体側基盤)がヘタってしまっているようで、マイク入力側しか、反応しなくなっております。あと、目に見える形でケーブルの付け根も断線寸前ですし…。

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購入して約1年でこの部分が壊れてしまった位にONEは、華奢です。実は、同じ部分は購入時から調子が悪く、初期不良交換を行った経緯もあり、「ONEは、耐久性に難あり」と自分の中で評価が定まってしまったわけです。せっかく音が良いのですから、もう少し丈夫に作って欲しいものです。前述の「ONEはもういいかなって」っていう理由は、この耐久性の部分にあります。

なんだか、iRig HDの紹介をしているつもりが、ONEの批判になってしまいましたが、ONEは、オーディオI/Fとしての音質や機能は優れており、Logic ProにApogee専用設定画面があるくらいに、Apple御用達感も高いだけにとても残念です。まあ、耐久性の問題は考えないでおいても、機動性という面を考慮した今回選択としては、iPadからの電源だけで動作するiRig HDに軍配があがるわけですね。

ちなみに、Apogeeには、「JAM」っていうiRig HD的なインターフェイスがあるので、機会があれば、比較してみたいと思います(JAMは、ライトニングケーブル非対応)。

iRig HDをプラグインするとオマケがもらえる

さて、iRig HDに話を戻しましょう。今回、演奏と録音を行うに際し、アプリは、「AmpliTube for iPad」で試しました。嬉しかったのは、AmpliTube for iPadにiRig HDを接続すると、アプリ内の一部機能のロックが解除されメタル系の2つのアンプヘッドと、2つのエフェクト(ハーモナイザーとフランジャー)が、追加で使えるようになる点です。

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音質については、iRig HDで満足できちゃったわけで、あとは、使用するアプリのキャラクターのお話になってしまいます。「AmpliTube for iPad」について言うと、Mac版のAmpliTubeを使っているので、なんの違和感もなくすんなりと受け入れられました。ただ、ひとつだけハマちゃったところがあります。

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8トラックのレコーダーをアドオンで購入したのですが、レコーダーのトラックの「FX」ボタンがオンになっていないと、ギターエフェクトがすべてバイパスされちゃいます。はじめはこれがわからなくて悩みました。DAWのミキサー的感覚でいうと、このFXボタンは、AUXのセンドくらいに思っていたわけで、まさか演奏時にオンにするとは思っていませんでした。

というわけで、8トラックフルに使ってレコーディングしてみました。サンプルではじめから収録されていたドラムループに合わせて、ギターとベースを弾いて適当に音を重ねていきました。とても快適に録音できました。

とにかく8トラック全部使ってみようということで、適当に弾いたので音がダンゴになってますが、8トラックめには、「iLectric」のクラビネットをAudiobusを利用して重ねてみました。Audiobusの起動直後に、AmpliTubeに戻ったりすると、強制終了するようなこともありましたし、AmpliTube側のドンカマが突然走り出すなどのトラブルはありましたが、最終的には、ストレスなく録音することができました。

最後に8トラックのレコーダーについて、ちょっと苦言あります。私の場合、iPad miniとiPad3にインストールして試したのですが、パソコンDAWで作ったトラック(AIFF 44.1/16音源)を読み込んでそれに重ねようとすると、トラックの数を増やすにしたがって録音・再生が瞬断しはじめます。8トラックをフルに録音して再生すると、結構な頻度で音が途切れ途切れになって再生されます。正直言って、これでは、演奏する気持ちが萎えてしまいます。

本来こういう使い方はしないのだ!っと言ってしまえば、そうなのでしょうが、パソコンDAWで完パケ状態にした各トラックをAmpliTubeに入れて持ち出し、ボーカルなどの生楽器系をスタジオで録音する、といった使い方をすることもあろうかと思うので、やはり、録音・再生が瞬断するのは、テンション下がります。実際、私は、ONEとの組み合わせでスタジオに持ち込み、ONE内蔵のコンデンサマイクでアコギを録ろうと思っていたわけです。

やはりiPadだけで、エフェクト効かせながら外部読み込み音源のマルチトラックをガンガン扱うのは荷が重いのなかなあって思ったしだいです。ただ、lAssistant – Life On TouchというiPad用のメモリ解放アプリを使って、録音・再生する前にメモリの空き領域を増やしてやることで、この現象は、かなり改善されます。

とはいえ、極端な話、録音トラックを増やすたびに、AmpliTubeのプロセスを留めてlAssistantでメモリ解放してやって、という作業を行うのは、興ざめ感がありました。それと、lAssistantによるメモリ解放マジックも4〜5トラックくらいまでが限界のようで、それ以上増やすと、音の瞬断が起き始めます。IK Multimediaの方々には、ぜひ、このあたりの外部読み込み音源再生の最適化にご尽力いただいて、一日も早く、気持ちよく録音・再生ができるようにしていただくことをお願いする次第です。

では、今回録音した曲のTD動画です。といっても、アレンジは何もしないで思いつきで重ねて、バランスは適当でパンポットとかは全然いじってないので、音がダンゴになって、うるさいだけの曲になってますが、こういうのが、iPad+iRig HD+AmpliTubeだと、カジュアル感覚で短時間(30分くらい)で作ることができるというサンプルとしてご覧ください。ギターやベースの演奏が稚拙なのは、ご容赦ください。普段まともに練習してませんから…。

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